いよいよ箱根駅伝を留学生が支配するときがやってくるか? 増え続ける留学生
以前、留学生について「高校編」と「大学編」について書かせていただきました。10月に行われた箱根駅伝予選会で、歴史ある中央大学が残念ながら予選落ちしてしまいました。その時、私は病院に入院中だったのですが、ロビーで入院患者のおじいさん方とTVで観戦していたとき、入院患者の中大OBのおじいさんが言った言葉が忘れられません。「留学生がいなければ中央大学は箱根に出場する事が出来ていた。」確かにそうなのですが、その言葉を受け、また少し留学生問題を考えてみたいと思います。
1.圧倒的な破壊力
留学生起用に賛否が分かれる理由としては圧倒的な走力にあると思います。留学生がいるかいないかで、レースが全く変わってしまいます。今年、三大駅伝に出場する山梨学院大学を例に挙げると、全日本大学駅伝ではアンカーのニャイロ選手の快走でシード権争いから一転、一気に順位を3位まで上げています。アンカーに渡るまでに主力選手を使い果たしており、もし留学生がいなかったらどうなっていたかと言われるとわかりません。
箱根駅伝予選会でも同じことが言えます。
予選会の順位留学生抜き
1位 大東文化
2位 明治
3位 法政
4位 神奈川
5位 上武
6位 創価(3位→6位)
7位 國學院
8位 国士舘
9位 拓大(7位→9位)
10位 中大
11位 城西大
12位 日大(10位→12位)
日本薬科 18位→26位
桜美林 25位→27位
武蔵野学院 27位→28位
箱根駅伝へ出場できなくなるのは日大の1校だけですが、これだけ順位の変動があります。これだけの破壊力があると留学生がいない大学、留学生がいないチームを応援している人から批判の声がささやかれてしまうのもわからないでもありません。
2.金銭的な問題(お金で連れてくる)
最近のネット記事で留学生をお金で買っているという記事を見かけました。留学生が日本の大学へ来る経緯は以下の通り
大学から要請
⇓
現地の代理人が選手を探す
⇓
日本の大学紹介
⇓
契約が成立すれば代理人へ数百万円支払う
⇓
選手の授業料、生活費をすべて大学が負担
という流れです。ようは数百万円代理人に支払い、留学生を買っているという記事でした。入学してからは、言葉から生活まですべてを教えなければならないため、大学の負担も大きいですが、かなりのメリットがあるということでしょう。
留学生の制度が悪いとは言いませんが、あまりにも高校、大学での留学生が増え続けている印象を受けます。手に入れた情報によると来年度も大学で4チームほど留学生が来ると聞いています。(そのうち1校は武蔵野学院でしたが、夏に来日しました)
このまま行くと各大学に留学生が1名いる時代が来るかもしれません。留学生が取れないチームが箱根駅伝から去っていくという時代も考えられるかもしれません。
だからと言って留学生を全面禁止とは思いません。「助っ人」として取ってくることをやめて、しっかりとした留学生(ちゃんとした学生)として受け入れる体制を整えることが、まずは大切だと思います。
ということで勝手に色々と考えてみました。
1.代理人禁止
まず、代理人を通して、選手を取ってくることを禁止にする。高校生を勧誘するときに各大学の監督・コーチは直接足を運び、選手を見て、本人、親、先生と交渉して選手を連れてくるわけです。海外の選手を取ってくるときも同じことをすればいいと思います。代理人を通さずに直接現地に行き、いいと思った選手が入れば直接交渉。言葉が喋れなければそれは仕方がないことです。日本の高校生の勧誘に代理人はいないわけですから、本当に熱意があって留学生を取りに行くならそれぐらいやってもいいかなと思います。
2.しっかりと勉強をさせる
日本に移り住み、日本で生活すれば片言で多少の言葉を覚えると思いますが、日本に留学生としてきているわけですから、しっかり留学生として勉強をしてもらいます。例えば「日本語能力試験」でN3以上(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できるレベル)を獲得しなければ、正式な試合に出場できないなど規定を設ければ、留学生を取ってきて走らせる為には、ある程度、勉強ができなければ走れません。しかし、そういった資格などを取得して表舞台に立った選手には「助っ人」としてではなく、日本に「学び」と「走り」を求めに来た一人の学生として愛着が湧き、応援される選手になると思います。少なからずともそこまで勉強も頑張っていれば批判も少なくなるでしょう。
と以上のことを考えてみました。
留学生を特に批判するつもりはないのですが、やっぱり留学生が増えすぎているかなと思ったのと、冒頭でも書きましたが、中大OBのおじさんの嘆きが心に少し響いたので、も一度考えてみました。
留学生が増えすぎて、関東インカレもそのうち表彰台に日本人選手が乗らなくなる日も来るかもしれませんし….
「そんなことを言っている奴がいるから世界から取り残される」と言われたらそれまでですが、それはそれで、海外レースに積極的に参加させるなどで、より世界を経験出来る場を増やせばいいと思います。
野球やサッカー、ラグビーなどでも留学生が増えているかもしれませんが、陸上競技に関して言えば、戦術などでカバーできる部分が少なく、個の能力差が大きすぎる気がします。確かに世界と戦うことを考えると、乗り越えなければならない壁なのですが、あくまでも学生スポーツということを忘れてはならない気がします。
余談
実業団で活躍していた渡辺和也選手が来季より東京国際大学へ入学して箱根駅伝を目指すそうです。昔は年齢制限がありましたが、今はないので、何歳でも箱根駅伝を目指すことが可能になりました。昔も実業団から大学へ入学して箱根駅伝を目指した選手がいました。もし、渡辺選手がものすごい活躍を見せた場合、今回のことを前例に高卒の実業団選手で、力のある選手をルーキーとして加入させるという方法取る大学も出てくる可能性もあるのかなと考えてしまいます。
現在、実業団で活躍する旭化成の丸山選手や茂木選手、トヨタ自動車の宮脇選手や松本選手なども今からでも箱根駅伝を目指すことが可能なわけです。
話は脱線しましたが、留学生や実業団から大学へ入学する選手がたくさん走る「箱根駅伝」だけにはなって欲しくないなと思います。